大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(ツ)20号 判決

所論は、要するに、被上告人が、金七〇万円を上告人に対して支払うのと引換えに、本件建物の明渡しを求める旨訴求したのに対して、原審が、金一〇五万円の支払いと引換えに右建物の明渡しを認めたのは、民訴法一八六条の規定に違反するというにある。しかし、被上告人が、右提供にかかる金七〇万円を超える金額との引換えを命じられるならば、絶対に本件建物の明渡しを求める意思を有しないというわけではなく、むしろ、被上告人としては、本件建物賃貸借の解約申入れにつき、正当事由の補強として客観的に必要な金員を提供する意思があり、その金額は被上告人としては金七〇万円が相当であると主張するに止まるものであることは、原判決の説示で明らかにされており、この判断は、記録に照らし首肯できないことではない。尤も、上告人指摘のとおり、被上告人は、第一審で判示された金一〇五万円との引換えの金額を不服として附帯控訴を申立てたものではあるけれども、このことから被上告人がその申出でにかかる金七〇万円を超える金額との引換えを絶対に拒否する趣旨と速断することはできない。いずれにしても、本件のごとき場合に、裁判所が、被上告人の申出額に拘束されずに、これを超える金額との引換給付を命ずることが許されるのは、恰も全部の給付を求める訴に対し、その一部のみの給付を命じ、その余の請求を棄却することが許されるのと同様である。よって原判決の判断は民訴法一八六条の規定には反しない(最高裁判所昭和四一年(オ)第一〇〇五号事件第一小法廷昭和四六年一一月二五日判決参照)。

(中西 松永 小木曾)

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